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天国への階段(1)

古い記事です。(以前ほかの場所で紹介したことあり) ガトがRGで優勝した直後の2004年7月に、El Graficoというアルゼンチンのクオリティ・スポーツ誌に載ったものです。

ガト記事のようなタイトルだけど、ガトについては後半にインタビューが出てきますが、それ以外はテニス界の構造についてです。

元記事はリンク切れですが、こちら(MTF)で読めます。(ただしスペイン語)
こちら(MTF)に英訳があります。私の日本語訳もこの英訳を元にしました。

なお、この記事に限らずですが、厳密に訳したものではありません。端折ったりした部分もあり。
原文・英訳と照らし合わせやすいように、小見出しには原文および英訳表記を併記しました。

明らかな誤訳や勘違い訳がありましたら、ぜひご指摘下さい。
また、質問などあればわかる限りでお答えしたいと思っています。私が答えられなくても、他の方が答えてくれるかもしれないし。

【追記:つづきはこちらからどうぞ http://tennisnews.blog83.fc2.com/blog-entry-1470.html


ガストン・ガウディオ
天国への階段


テニス界では、ひとつステップアップする毎により快適な未来が待っている。

トップ100に入ると待遇が違ってくる。しかし、それもトップ10の扱いには敵わない。ガストン・ガウディオの人生は、GS優勝とトップ10入りにより大きく変わった。(訳注: ちなみに、ガトはRG優勝後2006年春まで10位前後をキープ。最高ランキング5位。年度末マスターズカップにも2年連続出場)

プロテニス界はふつうの社会と同じような構造を持っている。金持ちと貧乏人、有名人と無名人といった具合。ATPサーキットの階級格差はランキングによってもたらされる。100位を境に全く違うふたつの世界があるのだ。


◆ベルリンの壁(THE BERLIN WALL/EL MURO DE BERLIN

ガストン・ガウディオは「プロとして最初に目指すのはトップ100入り。そこまでいけばテニスの稼ぎで暮らせるし、ツアーをまわるための軍資金もまかなえるから」と、鉄のカーテンを越えること(トップ100入り)がどれだけ重要だったか忘れることはない。

トップ100選手であれば、年間15大会(GSx4、11のATP大会)への出場が保証されたも同然だ。トップ100選手と100位圏外選手とでは、年間予定の立て方が違ってくる。GSに出場する方が、チャレンジャーで優勝するより実入りがいいのだ。GS1回戦に出場するだけで12,000ドル以上になる。1回戦に勝てばその倍。ATP大会の賞金はそれよりは少なくなるが、たとえばシュトゥットガルトで1回戦負けでも3,500ドル以上になる。

100位圏外選手が出場するチャレンジャーやフューチャーズやサテライト大会では(訳注:サテライトはなくなりましたよね?)、賞金はずっと低くなる。この3つの中で一番賞金額が高いのはチャレンジャーで、賞金総額25,000~125,000ドル。1回戦負けだと、賞金総額の1%が賞金だ。

トップ100選手となると何が変わるのか。チェラ曰く:「知名度が上がってくる。ホテル代や食事代が出る。送迎がある。チャレンジャーで重要選手として扱われる」

トップ100と100位圏外の違いは、賞金額だけではない。どちらも航空運賃は選手持ちだが、100位圏外の選手はホテル代も自腹だ。ATPの定めるところにより、ATP大会は本戦出場選手に5泊と一日一食を選手に提供することになっている。

カレリ「チャレンジャーに出るのとATP大会に出るのでは雲泥の差だ。(中略) チャレンジャーででの選手は2、3ゲーム捨てたりするけど、ATP大会では1ポイントだって捨てたりしない」

ATP大会は賞金も獲得ポイントも高いが、ストレートで本戦入りできない選手にとってはリスクが大きい。「予選で負ければ1週間で2,000ドルの出費だ。そういうリスクを取れる選手は、スポンサーがいるか、そうでなければ軍資金を貯めてあるかだ。新人はいきなりATP大会予選に挑んだりしない。1週間で2,000ドルの出費じゃ、他の大会に出る資金がなくなってしまう。それに、予選出場者にはホテル代も食費も出ない。飛行機代もかかるし」と、スキリャリ(訳注:引退したアルゼンチン選手。この後も何度も出てきます)。

ATP大会にダイレクトインするだけのランキングがない場合、ATP大会とチャレンジャーのどちらに出るか決めるために多くのことをはかりにかけなければいけない。予選でのストレス、ポイントや賞金/出費、コート・サーフェス、時期、前週・翌週の大会との距離、など。むずかしい決断だ。リスクも高い。

170位あたりにいるDiego Veronelliは、よくこのディレンマに悩まされる:「4、5週間以上の予定は立てない。ディフェンドするポイントがあったりするとチャレンジャーに2、3週出る。ディフェンドする必要がなければ、ATP大会予選にエントリーすることもある。でも、予選1・2回戦に勝っても3回戦で負ければ何にもならない。チャレンジャーなら2回勝てばQFで、(賞金もポイントも)加算される。とはいえ、ATP大会で予選を勝ち抜き、本戦で2回勝てばチャレンジャー優勝くらいになるんだ」


◆ダブルス(DOUBLES OR NOTHING)

ダブルスには陽が当たらないが、よい収入源になりうる。シングルスの半分またはそれ以下の賞金ではあるが、大会によってはいい稼ぎになる。GSダブルス1回戦敗退で5,000ドル。本戦にダイレクトインできるかどうかはランキングによるが、ダブルスは2人のランキングの合計だ。Veronelli曰く「 エントリーが始まると、みんなダイレクトインできるか計算するんだ。ある選手とダイレクトインできないなら他の選手・・・というように用意周到なことをする選手もいる。戦いさ。仲違いになることもある」


◆将来への投資(INVESTMENT FOR THE FUTURE/INVERSION A FUTURO)

スポンサーもいない、ATP大会にダイレクトインもできない選手たちの多くが、テニスを続けるためにクラブ対抗リーグに参加するという道を選ぶ。フランスやドイツではテニスは人気があり、各都市にあるクラブ間でリーグ戦が行なわれる。良いスポンサー(企業)がついていて、TV放映もあり、入場者も多いため、実入りがよい。

「マネージャーがドイツの2部リーグのクラブといい契約を取ってきてくれるんだ。彼に20%のコミッションを払ってる。1試合3,000ドルで、年間7、8試合する。経費がほとんどかからないから、ほぼ丸ごと手元に残る。欠点は、大会に出られないのでポイントが稼げないこと。だけど、いいお金になるから、そのお金でそのシーズンやっていけるんだ」とVeronelli。100位圏外の南米選手たちの大多数は同じようなことをしている。

アルゼンチン貨幣の暴落によりこの傾向は強まり、ここ2、3年はアルゼンチン選手たちの常套手段となった。よく知られているアルゼンチンテニス選手たちのほとんど全員が、ある時期このクラブ対抗リーグでプレイしてきている。「アルゼンチンテニス協会から援助されていたコリアとナルバンディアンは別として、他の選手はリーグでプレイしている。いいお金になるので、ツアーを回り重要な大会に出場するための資金ができる。だけど、アルゼンチンに帰る資金がないためにヨーロッパに4ヶ月留まらなければいけないというのは厳しいよ」と、3年間ドイツリーグでプレイしたガウディオ。

大多数のクラブが飛行機代と現地での経費を持ってくれる。選手が受け取る額は様々だが、ランキング200位前後だと1,500~3,000ユーロ。ランキングが高くなれば高いほどその額は大きくなり、60位だと1試合で10,000ユーロということもある。(ルールによりトップ50選手はプレイできない。訳注:このルールは昨年あたりから変わり、トップ50選手であっても1シーズンに何試合までという枠の中でプレイできることになった) クラブリーグ経験のあるカレリ:「ブンデスリーガで2年プレイして、最後にプレイしたのは2000年だった。僕は75位だったんだけど、素晴らしかったよ。勝てばボーナスがあったし、ダブルスの試合にも出場料が出た。それ以前にプロとして稼いだよりたくさん稼げたよ。レベルも高いし。60位とか70位の選手もいるんだ。観客も時として4000人くらいいたし」

勝てばボーナスがあるのだ。また、常にクラブに拘束されるというわけではない。事前にアレンジしておけば、ATP大会に参加することはできる。「ふつうはクラブの方に専念して(リーグ試合がある時には)ATP大会には出ないようにということなんだけど、ま、1回戦だけならプレイさせてくれることもね。その場合は、試合を捨ててリーグ戦に戻ってくるんだ。ほめられたことじゃないけど、お金が必要であれば、やる。1回戦をプレイして、翌日リーグ戦に戻ってきて、また別の大会に出るんだ」と、スキリャリは語る。こういう理由で放棄される試合が多かったため、ATPは同じ週にATP大会とクラブ対抗リーグの両方に出る選手に罰金を科すことにした。


◆第1世界(THE FIRST WORLD/PRIMER MUNDO )

トップ100に入ったら、次のゴールはトップ50入りだ。このエリートグループに入れば、GSの次に重要な大会であるマスターズシリーズに出場することができる。

トップ50選手たちは知名度もぐんと高くなる。そして、それ故にスポンサーが寄ってくる。ウェアやラケット契約のオファーが増えるだけでなく、テニスとは関係のない会社からもオファーがくる。

大会側にとっては、すべての選手が同じわけではない。「ランキングが上がると大会側の扱いが違ってくる。応対が段々よくなるんだ。ランキングが高い選手はホテルの部屋も二部屋、専用車、その他色々と便宜を計らってもらえるんじゃないだろうか。そうあるべきだろうと思う。そこまで辿り着くためにしてきた犠牲への報酬だし、モチベーションにもなる」とカレリ。

トップ50に辿り着くのは、そこにとどまるよりずっと難しい。サーキットは、特権のあるトップ50に辿り着いた選手たちにやさしく出来ている。トップ50選手たちは最も重要な大会にダイレクトインできるので、楽に年間スケジュールを組める。トップ選手たちはGSやマスターズシリーズに照準を合わせ、その他の大会は歯牙にかけない。

トップ選手たちは、GSとマスターズと2、3の他の大会に出るだけである。トップ50か60に辿り着いた選手は、故障またはよほど悪い成績が続かない限りその位置から簡単には落ちない。各種優遇措置や高収入が選手のパフォーマンスを伸ばし、すべてがスムーズにいくようになるのだ。

チェラの例:「トップ50に近づいた時に、アルゼンチン人専門のドイツ人マネージャーと契約した。何でもやってくれる。飛行機やホテルの手配、契約やスポンサー関連も面倒をみてくれる。その上、ランキングが高いとちょっとした贅沢ができる。少なくともこれくらいの稼ぎにはなると見当がつくから、家族や友だちを大会に招待したり、自分のチーム全員 - コーチとトレーナー - を帯同できる」

多くのトップ50選手の収入源のひとつとして、大会が選手の出場を確かなものにするための契約金「ギャランティー」がある。(訳注:ギャランティーとは俗にいう「アピアランスフィー」のことだと思われる) 「ランキングが高かった時には、よく携帯に大会招待の電話がかかってきたものだ。大会側がオファーし、こちらが条件を提示するんだ。だけど、トップ選手は上手にスケジューリングしなければならないから、なんでもかんでもOKしないようにしないと。今が稼ぎ時とばかりあちこちの大会に出まくって、1~2年でカラダをすり減らしちゃった選手もいるからね」と、スキリャリ。


◆モチベーション(ASSURED MOTIVATION)

選手とコーチの間の取り決めは様々である。定額契約もあれば、獲得賞金のパーセンテージ(一般的には10~20%)もある。あるいは、その2つの組合せで基本額プラスパーセンテージ。この組合せというパターンが一番多い。フランコ・スキリャリ:「パーセンテージが高ければ、定額制よりもコーチの意気込みも違うだろう。コーチと選手の両方がよりやる気のでるシステムなんだ。選手としては、いい成績を上げればコーチにその報酬を受け取ってもらいたいし、成績が振るわなくても仕事の対価は払わなくてはね。いいシステムだと思う」


金持ちと有名人と(THE RICH AND FAMOUS/RICOS Y FAMOSOS)

彼らはサーキットの王たちで、いつどこでもそういうものとして扱われる。トップ選手はGSとスーパー9(訳注: マスターズシリーズに当たる大会の当時の名称)には出場義務があるが、その他の大会に出るにあたってはギャランティーを受け取る。ATP大会はトップ10選手の出場を切望する。そのため、大会側は選手が大会で快適にすごせるようありとあらゆる努力をする。

大会の成功は、フェデラー・ロディック・コリアやその他のトップ10選手が出場するかどうかにかかっている。「すばらしい扱いをするよ。大会中ものすごくよく世話をしてくれるし、ホテルもすばらしい部屋を用意してくれる。それはとても心地よいけど、責任も伴ってくる。だからこそ、そこに留まるためによりいっそう練習に励まなくてはいけないんだと思う」とコリア。

大会ディレクターにとって、客を呼べるトップ選手たちの欠場は最悪の事態である。そのため、彼らは1年前からトップ10選手の出場を確保しようとする。つまり、大会期間中に来年度出場に対する抗し難いギャランティーが提示されるのだ。こういったギャランティーは選手によって大きな差があるが、トップ5選手であれば50,000ドルにもなることがあり(訳注:最近はこんなもんじゃあないでしょう・・・)、さらに普通は次のような特典がつく:

- 選手とそのチーム、そして選手の友人や家族の交通費
- 選手とその同行者たちの食費・宿泊費すべて
- 専用車。選手が自分で運転ということもあれば、24時間いつでも呼び出し可能の運転手付きというのも。
- その他、選手やその同行者が望むすべてのこと。

GSやマスターズシリーズは、トップ10選手にそのような出費をする必要はない。選手たちはこれらの大会には出たがるものだから。そういった出費が一番必要なのは、それ以外のATP大会なのである。そういった大会では、トップ10選手は決勝進出してもランキングが上がるわけでもないということもある。そうなると、それを補うモチベーションが必要となってくる。

アンドレ・アガシのギャランティーは200,000ドルだったそうである。彼くらいの選手ともなると、ギャランティーだけでなく他の要素も(大会出場を決める)鍵となる。たとえば、その国が好きかとか、翌週の大会出場に差し障りがないかとか、あるいは観客が彼に好意的かどうか、など。

そういった例としては、ブエノスアイレスにおけるグガをあげることができる。ギャランティーが出るかどうかに関係なく、グガはブエノスアイレスに出場する。彼にとって心地よい場所だし、アルゼンチン人と対戦したとしてもまるでグガが地元選手であるかのように扱われるということも知っているからだ。





- その2(完結編)に続く。
その2になってようやくガトに焦点が移り、ガト・インタビューです。
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[ 2008/12/18 ] テニス一般 | TB(0) | CM(2)

知らなかったことたくさん

れいこさん。 ありガト~~ すご~~いおもしろい内容でした。
"その2"待っています。

>天国への階段
トップ5あたりが天国なのかな。
[ 2008/12/20 01:02 ] [ 編集 ]

pizzaさん
長~~い記事を読んでくださってありガト~

トップ選手はそれなりに苦労してきた結果としてそこにいるわけだけし、トップになったらなったで別の悩みもあるだろうけど、少なくともプロのアスリートという職業では栄誉を極めた・・と言えますよね。
トップ50にも入ることなく引退していく選手の方がずっと多いと思うし。。
[ 2008/12/20 06:49 ] [ 編集 ]

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...he looks back and decides that all those years he suffered, those are the best years of his life, cause they made him who he was. 
(From a film Little Miss Sunshine)
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